日本を旅して想うこと

(この文章は、2019年3月に書きました)

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 本文を執筆する切っ掛けとなったのは、後述する外国人留学生の文章に接したからである。
この文章は、日本人が忘れかけていたことを気付かせてくれる内容であったので、
これを紹介すると共に、筆者が旅の中で最近感じていること等を記してみた。


■山田洋次監督は偉い

 筆者が旅の中で求めるのは、いつも見ている日常生活の中で、ふと発見する「感動的な景色」である。
(詳細は、「私の一生の夢」のページを参照願います)

 最近は、映画のロケ地を巡るのが流行っているが、その草分けとなる映画が、
山田洋次監督の「男はつらいよ」ではないだろうか。 筆者は、その全49作(特別編を含む)を入手。
当初は、一日一作。最近では、月にせいぜい2~3作で、1年経っても一巡しない程なのだが、
忘れた頃に再び見る。それでも、今までに各作品を3~4回は見ていると思う。
 最初の頃は分からなかったのだが、何度か見ている内に、筆者が各地で「感動的な景色」と感じた場所が、
この映画の中に登場することに気付いたのである。
それも、観光地の絶景ポイントなどではなく、例えば駐車場から目的地までの間で見るような、
ごく普通の一般住民が生活している場所(景色)が、何気ない1シーンに使われているのである。

 映画「男はつらいよ」は、第1作の昭和44年(1969)に始まり、
主演の「渥美清」生前の最終作となった第48作は、平成7年(1995)公開である。
 これに対し、日本でインターネットサービスプロバイダ(ISP)がサービスを開始したのは、昭和67年(1992)。
「Google」が日本語での検索サービスを開始したのは、平成12年(2000)であったという。

 今でこそ、インターネットを利用すれば、地元の人でしか知らないような「絶景ポイント」でも、
簡単に検索することができるが、インターネット検索が普及していない時代に、「山田洋次監督」は、
筆者が「感動的な景色」と感じた多くの場所を知り、それを映画化していたのである。

 また、筆者が何も気付かずに歩いた道でも、そこに「渥美清」扮する「風天の寅さん」が居て、
後ろに音楽でも流れれば、その場所が「感動的な景色」になっている。
 筆者のいう「感動的な景色」とは、景色だけではない。その日の天候やその時の体調と気分。
これらが合体して味わえる感動であり、現地では気付かなかった「感動的な景色」を、
山田監督は、映画の中で再現してくれるのである。

 これは、正に「山田マジック」。「山田洋次監督は偉い」と思うのである。


■旅する外国人は偉い

 最近テレビなどでは、マナーの悪い外国人旅行者の話が話題になっているのは承知しているが、
以下は、筆者が各地で海外からの旅人を見かけ、実際に感じたことである。

 大型の観光バスは来ない。電車の線路もなく、バスの便も少ないような場所でも、海外からの旅人を見かける。
最近では、日本人よりも海外の人の方が、日本の本当に良いところ、これが日本の原風景といえるような場所を
多く知っているような気がする。

 考えてみれば、日本人は子供の頃から見ているテレビや映画、それに雑誌などに掲載された風景を思い出しながら
旅行の計画を練る。結果として、古くから知られる有名観光地ということになり、わざわざインターネットを検索してまで
知らない目的地を探すということは、ほとんどないのではないだろうか。
逆に、見たこともない景色を求めれば、日本にない景色ということになり、海外旅行となる。

 対して、海外からの旅人は、日本でしか見ることのできない景色を求めて、日本に来ている。
インターネットで検索し、地元の人でしか知らないような場所でも探しだし、日本を旅しているように思う。

 しかし、自分の車を海外に置いてきた彼らはどのように旅を続けているのであろうか?。
レンタカーを利用すれば簡単ではあるが、それらしき車を利用しているのは日本人の方が多い。
それに、道に不案内の日本で、頼りによるカーナビは、メーカーによって操作方法が異なる。
筆者など、カーナビ付のレンタカーを借りても操作方法に慣れず、自宅から持って行ったポータブルカーナビを
使った程である。
また、地図までが英語表示のカーナビを備えたレンタカーは、需要に応えるだけの台数があるのだろうか?

 こんな事を考えていると、本当に「旅する外国人は偉い」と思うわけである。


■外国人留学生の「声」

 先日(2019/3/3)、朝日新聞朝刊の「声」欄で、以下のような文章を見つけた。

 東京に住んで初めて四季の美しさに目覚めました。
イチョウ並木のある街では、木々が風に吹かれて「サササ」と音をたて、落ち葉が道路を黄色に染めました。
新宿の道路のど真ん中で「こんな絶景が日本人の日常に含まれているなんて」と感動したのです。

 そして、文章の最後には「仕事や勉強に追われるあなた、たまには周りの景色を観賞してみませんか?」とあった。

 この文章を書いたのは、シンガポール出身の留学生「エリカさん(19歳)」です。

 この「エリカさん」だけでなく海外の方は、日本をよく見ている。
今の日本人は忙しさに追われ、日常の中にも含まれている日本の素晴らしい原風景を
忘れてしまっているような気がする。

 筆者の旅も、今しばらくは、走ったことのない道を求め、車でということになるのだろうが、
旅は歩くスピードが一番。車では早過ぎる。また、遠くへ行くことだけが旅でもない。
家の周りにだって、行ったことのない場所や歩いたことのない道は、いくらでもある。
 筆者も既に高齢者講習の年齢に達し、運転免許の返納などということも脳裏をよぎる年代に入った。
何年後になるかは分からないが、運転免許返納の後には、歩いたことのない近くの街や村を
ぶらぶらと歩くのもよいのでは等と考える、今日この頃である。

 追記:それまでの間、心身共健康に維持できれていればの話ではありますが...


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